新しく教室を創るにあたり、
「生徒の目線に立って考えよう」
ということを基本コンセプトとして、Miraizはデザインされました。
私が11年間の指導の中で痛感したのは、至極当然のことですが、
「我々と違い、子供たちにはここ(塾)だけが世界なのではない」
ということでした。
部活動や生徒会、クラブチームや習い事、
合唱コンクールや体育祭や修学旅行。
子供たちは朝から晩まで実に大忙しです。
よく保護者会でもお話したのですが、
朝練があって、体育の授業があって、部活もあって、
ヘタすると体育祭の練習まであって。
全身汗だく泥だらけで家に飛び込み、急いで汗を流し、
夕食をかっこみ、慌てて塾へ急ぐ。
すると、寝不足で、身体はへとへと、お風呂上がり、
そしてお腹いっぱい…という、
「あとはお布団があれば完成」状態で彼らは塾へ来るのです。
そんな彼らに週に4日も5日も教室まで来てもらって、
しかも3時間も4時間も授業を受けさせて、
果たして本当に彼らのためになっているのか?
という疑問がずっと私の頭にはあったのです。
思えば、最もたくさん受けたご相談は、
この「学校との両立」「体力的な限界」でした。
通塾日数の多さ、長時間の授業で鍛え抜く塾、
多くの授業を履修させる塾、山ほど宿題を出す塾、
考え方や指導法は様々です。
一概に否定することはできませんし、
厳しい塾ならではの成果もあるでしょう。
しかし、大切なことは、
生徒がそれを前向きな気持ちで受けとめられているか、ということです。
納得できずにシブシブ通っていたり、
消化不良を起こしていては本末転倒です。
さらにぶっちゃけたところをお話しすれば、
この「長時間授業」「多くのコマ」「山盛り宿題」は、
子供の属する他の世界を知らない、塾側の都合でつくられたものです。
大手の場合、営業的な事情が絡むこと(単価ノルマを課すなど…)もあります。
さらに言えば、生徒の都合も考えず、大量の課題を押しつけていれば、
たとえ成績が伸び悩んでも、
「これだけやらせてるんですから、ついてこれないのはウチの責任ではありません」という、
塾側の「免罪符」にもなり得るでしょう。
そこで、Miraizでは「生徒の目線」を通じて再設計することにしました。
できるだけ長い時間教えたい、
できるだけ多くの授業を聞いて欲しい、
できるだけ多くのテストを受けてもらいたい、
これらの「教員の都合」でできた思い込みを頭から排除し、
白紙から考え直してみました。
まず中1や中2の皆さんには最大週3日の通塾を設定、
週に2日来てもらえば「英数理社」の4科目が受講できるようにしました。
もちろん、国語も重要(私は最重要だと考えています)科目です。
しかも、国語の実力を伸ばす指導には高い専門性が必要ですから、
私もいち国語教員として、是非とも指導したい気持ちがあります。
しかし、物理的な限界の前にはやむをえぬ優先順位があります。
時間的・体力的余裕のない場合でも、積み上げ型の科目は外せません。
まずは公立・私立いずれの受験にも必要な「英数」が最優先でしょう。
次に、公立高をお考えであれば、中3で大きく差のつく「理社」。
この4科目を週2日で学ぶことができれば、
スケジュールにもだいぶ余裕が生まれます。
さらに中3も含め、授業時間は90分を基調としました。
人間の集中力の限界は90分だという説もあります。
本当はやりたいこと、やらねばならないことはたくさんあるのですが、
教師の感覚だけで、長時間強制的に付き合わせても、
学力は決して時間数に比例して伸びるわけではないでしょう。
短い時間でも本当に集中して学習できれば、
長時間ぼーっと授業を受けているより、ずっと効果があります。
いまやるべきことはこれだ、これさえマスターしてくれればいいよ、
という的を絞った授業を行い、効率的な学習を可能にします。
続いて、テストも思い切ってリデザインしました。
多くの塾では「月例テスト」などの形で、全国規模の成績が出される、
いわゆる「業者テスト」を採用しています。
ところが、このテストは出題の質はよくても、宿命的な弱点を具えています。
それは全国規模のテストであるが故に、進度の調整が非常に難しく、
基本的には標準的な学校進度(よりさらにゆるやか)に合わせて作題されているということです。
塾の授業は学校よりも1〜2ヶ月程度先行しているのが普通ですから、
既習事項の復習内容にはなっているのですが、
生徒たちにとっては「塾でその月に習ったことが出ない」という、
やりがいのないテストになっているという側面があります。
つまり、これも生徒目線で捉えていくと、
あれやこれやと忙しい中で、
「学校の授業」「塾の授業」「月例テスト」の
3つのカリキュラムの合間をふらふらと漂ううちに、
「次はこれ…次はあれ…もうイヤだ、もう塾のテストは棄てた、いーや!」
という風にもなりかねないということです。
これでは正確な実力も測れませんし、
「ただ受けてるだけ」にもなりがちです。
何より勉強する気になれないというのは大問題です。
そこでMiraizでは、いわゆる「月例」テストは行いません。
代わりに、授業内での小テスト(宿題確認テスト)を全クラスで実施します。
授業内で扱った単元を定着させる宿題・課題を出し、
それさえきちんと消化していれば点数の取れるテストです。
この小テストに限り、口頭で得点を報告してもらいます。
アタマの良し悪しなどではなく、やったかどうかだけのチェックですから、
サボってきた人には正当な恥をかく経験をしてもらいます。
合格点に達しなければ居残り再テストもあり、です。
そしてその小テストを積み重ねて、定期的に大テスト=「M-1Grand Prix」に臨みます。
そのための勉強を別にする必要はなく、
そこまでの授業内容・宿題・小テストの中から出題される、
塾の授業の定着度を測るためのテストです。
春・夏・冬の休み明けなど、復習と定着が重要な節目に、
全国規模の業者テストを実施します。年間3回の実施です。
大テスト=「M-1GP」は別に年間3回ほど、総合的な実戦力を検証します。
M-1GPは授業内で実施します。
実施直後には解説授業を行い、弱点分野の克服に役立てます。
毎月、日曜日に業者テストのためだけに出てきてもらうよりは、
定期テスト対策や質問教室などの勉強会に活かしたいと思っています。
(毎週ですとお互い疲弊しますから…月に一度くらいがいいかな?・笑)
ただ、本当の意味で「生徒の目線」に立つということは、
いたずらに寄り添い甘やかすということでは決してありません。
我々は無駄な時間や労力は効率的に省けるよう工夫しますが、
必要な努力課題は絶えず生徒の皆さんに示し求め続けます。
逆に言えば、時間に少し余裕を持てる分、
生徒の皆さんは「忙しいから」という言い訳ができなくなります。
言い訳はしない、人のせいにしない、どうせと言わない。
これはMiraizの「誓い」ですから厳に守ってもらいます^^
一方で、本当に苦しいとき、辛いときは、必ず相談して下さい。
これはMiraizの「約束」です。
「無理」は「無謀」になるばかりか、「無駄」にもなりえます。
私たちは生徒の皆さんができないことを責める立場ではありません。
一緒に考え、作戦を立てて共に目標に向かう味方です。
そう、我々Miraiz講師と生徒の皆さんとの関係は、
「お医者さん」と「患者さん」だと思って下さい。
医者の前でカッコつけて、痛いところや悪いところを隠す患者がいますか?
そして、それは患者さん本人のためになりますか?
我々は薬を出し、治療法を考え、
食事や睡眠など生活の改善点をアドバイスする立場です。
身体を壊した患者さんを叱りつける医者がいますか?
いたとしたら、誰のためのお医者さんなのでしょうか?
いまは健康な人も、病気を抱えてしまった人も、
未来を描くにはイイ医者は必須です。
イイ医者とは、患者の目線でものを考えられる医者だ、
と我々は信じています。