> 中学受験について(総論編): 進学匠房Miraiz〈ミライズ〉教室ブログ(旧)

2014年06月09日

中学受験について(総論編)

20年ほど前まで、中学入試は首都圏の小学生全体のおよそ1割の層の選択肢でした。
それが変化の兆しを見せ始めたのは、2002年のことです。
「学習内容3割削減・土曜休校・絶対評価導入」で学校に激震をもたらした「ゆとり教育」が始まった年です。
少子化を背景に市場の縮小を懸念した学習塾業界は、大手を中心に一大キャンペーンを張り、「円周率が3になる」「台形の面積を教えない」など、センセーショナルな話題(実はマスコミの極端で不正確な報道も多かったのですけれど)で公教育への不安感を煽り、私立中学への誘導を図りました。

その結果、2002年には首都圏およそ30万人の小学6年生のうち、中学入試にチャレンジするのは約13%と、それまでほぼ横ばいだったところからおよそ1万人近い伸びを見せ、ピークの2008年には約18%と、大手塾の言い方を借りれば「5人に1人が受験する」状況となりました。
(中学受験率は、併願校数=どこを受けたか=の正確な把握と、受験状況=合否=の厳密な報告が前提のため、四谷大塚、首都圏模試、日能研など調査主体によって統計にバラツキがあります。ここではおおよそ平均的な数値を採り上げています)

さらに、教育熱心な土地柄から、新浦安地域では中学受験ブームが過熱、小学校によっては半数以上が受験するといったところもあり、1月〜2月の受験シーズンともなると教室が閑散とする、というような状況もありました。

中学入試推移.jpg
上図のように、2006年から2009年にかけては私立校の募集定員総数が、受験者総数に満たず、およそ5千人から1万人の小6生が、「席がない」という状況でした。
遊びたいのもガマンして、他の習い事もやめて、2年・3年と塾に通って頑張ったのに、行き場のないお子さんがこれだけいたのです。
どうしても成功談ばかりが語られがちですが、つらい思いをした子も相当数いたはずです。中にはこの挫折がきっかけで「燃え尽き症候群」や、勉強アレルギーになってしまった子もいるかも知れません。
ブームに沸く大手学習塾のはしゃぎようを横目に、報われなかった子供たちにとっては残酷な時期とも言えました。

やがて2008年のリーマンショックをきっかけにブームは頭打ちとなり、その後に文科省から「ゆとり脱却」の方針が打ち出されたことで徐々に沈静化、2014年には約12〜13%というデータが出ています。
上のグラフを見ても、バランスのよい併願作戦さえ練っておけば、合格校が一つは確保できる、そんな状況になっています。

いま、中学入試は「受験者の減少」が大きな話題となっています。
中学受験一般的に小4、遅くとも小5から準備を始めるため、多額の費用がかかります。
塾によってもまちまちですが、平均して小4でおよそ40-50万円、小5で60-70万円、受験学年となる小6では90-120万円かかると言われています。総額にして190-240万円ですね。
そのため、全体としては受験を始めた2ー3年前の経済の動向や社会情勢の影響が遅れて表れます。
今年の受験者数減については、まず考えられるのが東日本大震災の影響です。
今年受験した小6生が小4生になる春に震災が発生しましたから、塾に通い始める時期が遅れたお子さんも少なくはないでしょう。
さらに、交通機関のマヒや流通経路の遮断などで社会不安が高まっていましたから、お子さんを遠くの学校へ通わせることへの不安もあったはずです。中学受験を断念したケースもあったでしょう。

このような経緯から、全体的には応募者を減らす学校が多く、見た目には競争が緩和されたようにうかがえます。
しかし、それでも魅力のある学校は人気が上昇し、応募者を増やしています。
誰もが憧れる人気校に向けての競争は、まったく緩和されていないのです。
少子化が進む中で伝統校もあぐらをかくことなく改革を行い、どんな生徒を育てたいのか、どんな進路に導けるのか、明確なビジョンを描き、斬新な提言をしている学校も多くあります。

最近、支持を集めているのは「面倒見が良い」というキーワードです。
生徒数を教員数で割り、ひとりあたり何人の生徒をケアできるか、という数値を紹介したり、夏休みなどに補講授業を実施したり、手厚い進路指導をセールスポイントにしたりと色々です。
意外に難関校に多いのですが、細かい規則で縛ることなく、生徒に自主・自律を求める学校は、充分な合格実績のない場合、説得力に欠けるのか「放任」のイメージをもたれやすく、敬遠されることもあります。
また逆に厳しい生徒指導で生徒をがんじがらめにしているというイメージのある学校もまた敬遠されがちです。
しかし、実際には世間の評判とまったく違う場合もあります。
先入観を排し、実際に学校を訪れてみることが大切です。

中学入試には年齢に比して過重な課題や重圧がかかってきます。
また「親の受験」とも称されるとおり、保護者の方にも相応の負担がかかります。
忘れてはならないのは、子供たちは一度しかない10歳から12歳までの貴重な時間を、この年齢でしか体感し得ない様々な経験の可能性を限定する形で、受験勉強に向かうのだということです。
せっかく多くの時間や費用、労力をかけて、生徒本人が理不尽につらい思いをしたり、保護者の方がイライラしてしまったり、家の中がギスギスしてしまうばかりか、結果も出なかった、あるいは進学先で不本意な思いをしているというのでは、何のための中学受験かわかりません。

中学受験をするかどうか、進路の選定に当たっては、周囲の動向に惑わされることなく、「何のために」「どこを目指して」「どのように」やるのかを考え、ご本人が充分納得のもと挑まれることを強くお勧めします。

こう書くと、中学受験に否定的な方針なのかな?と勘違いされてしまうこともありますが…。
実は私(こんぶ)は中学受験経験者です。
幸いにして第一志望であった麻布中学校に合格でき、その後の人生を考えても最も大きな原点となっていますから、むしろ肯定側に近いポジションだろうと思います。

私は小学生時代、大阪府内でも一二を争うスパルタ塾で鍛えていただきました。
週に5日、竹刀片手のおっかない先生に文字通りビシバシと指導していただきました。
宿題をサボった日などはそれはそれは怖い思いをしたものですが、ただ、塾の授業は本当に興味深く刺激的で、辞めたいと思ったことは一度もなかったですね。
小学校で理不尽な思いをしていたこともあって、そこから新天地へ解放されたい、その一心で必死に食らいついていきました。

ただこれはあくまで私個人の経験であって、時代も背景も違う生徒たちに同じことを強要しようとはまったく思いません。
ただ、中学受験を志そうとするいわば後輩たちに、三つのことは言えると思います。

ひとつには、自発的であれ、ということ。
やらされている勉強は面白くも何ともありません。
ものすごいスピードで進んでいく中学受験であればなおさらです。
友だちがやるから、両親がやれというから、そんな理由で覚悟も決意もなく始めたのでは早晩無理が出てきます。
やるからには、憬れの学校を決めて、そこを目指してやり抜く。
始めるに当たってはご両親に誓いを立てましょう。
ただガンバルというのではなく、具体的に(週に何日通う、宿題は何ページ出る、習い事は制限される、日曜日もテスト、テレビやゲームも時間は限られる…等)考えて最後までやり遂げられるか自分自身に問いかけましょう。

ふたつめは、環境を選ぼうということ。
万人に理想の塾というのは存在しません。自分に合った環境の塾を厳選すべきです。
また塾はブランドで選ぶべきではありません。先生で選びましょう。
どんな先生がいいのか、は一口には言えません。
指導歴や合格実績を売りにする先生も多くいますが、一番は自分との相性です。
2年ないし3年間、自分が信頼してついていける先生かどうか、納得のいくまで体験授業などを通じて見きわめましょう。
たとえそのせいでスタートが多少遅れても、本当に信頼できる先生との出会いがあればいくらでも取り返すことができます。
むしろ、不本意な場所でズルズルとわからない勉強を続けていくことの方がずっと不利益です。
私は先ほどお話しした塾について、いまでもたまに夢に見るくらい怖い、しんどい思いもしましたが、あの塾に通いあの先生方に教えを請うたことは、ずっと誇りに思っています。

最後に、いま小学生生活に不満のある皆さんにこそ、中学受験をお勧めします。
色々な理由でいま、小学校がつまらない、息苦しい、窮屈だ、そんな思いを抱えている皆さんにこそ、中学受験は向いています。
皆さんには新たな環境に向けて辛くとも頑張り抜く明確な動機があるからです。
私自身、それで自ら中学受験を志した人間です。
私の体験から言って、環境が変わるとすべてが変わります。
たまたまいまの周囲とうまく調和できないことを、いたずらに自分を責めて押し込めてしまったり、周囲を呪うことで誤った発散をしてしまうのではなく、自ら新しい世界に踏み出しましょう。

中学受験は、あくまでも自分自身で志を立てて挑む、いわば「少し大人」を要求される選択肢です。
有名校に入れば有名大学に入れる、そしてその先に有名企業への道があり、人生安泰……なんて、もはやそんな時代ではありませんから、中学受験をすればエライというものでもありません。
いま小学生生活を十二分に楽しみ、公立中学でも同じ仲間たちと引き続き充実した中学生生活を送りたいと考えている人にとって、無理に選ばなくてもいい選択肢なのです。

自分にとってどうするのが一番いいのか、よく考えて臨みましょう。
もちろん、相談には乗りますよ!


posted by こんぶ先生 at 04:57| Comment(0) | Miraizってどんな塾? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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