今回は「英語の学習法」について考えてみましょう。
ただ、決して特殊な学習法ということではありません。
あくまでもごく当たり前にやっている、(学校などで教わる)一般的な学習法とされるもののうち「苦労の割に効果の薄いもの」を除き、「試験で結果を出せるもの」に絞ってお話ししたいと思います。
英語というものをどのようにとらえ、理解するか、ということについては、本屋さんの参考書コーナーをのぞいてみればわかるとおり、英語の先生や専門家の方によって実に様々な学習法が提案されています。
もちろん相性もありますし、考え方は様々ですので、そのいずれかをお勧めするのではなく、「ちょっとした工夫でムダを減らそう」ということの提案です。
「とにかく覚えるまで何十回も書くしかない、気合だ、根性だ!」という先生は多いですよね。
でも……そんなの、できたらやってますよね。
そして、それで本当に効果が出るのなら、続けてますよね。
とにかく何十回も書き取るなんて、ツライだけだし、面白くないし、効果も上がらないから続かないんですもんね。
以前にも書きましたが、長時間ダラダラ机に向かって「とにかく何十回も書く」というのは、手が動いてるだけでアタマが働きませんから、無駄の多いやり方だと感じます。
とはいっても、書かないで覚えることは、よほどの特殊な才能でもない限り不可能でしょう。
ですから書かねばならないのですが、同じ書くにしてもアタマが働くように書こう、ということを言いたいのです。
まずはMiraiz流[時間を計る・短時間で集中する・丸写しをしない]はどんなときも鉄則です。
そして、欲張りすぎないこと。
「継続こそ力」です、続けられなければ意味はありません。
ほんのわずかな取り組みでも、やらずにいるよよりは遥かにマシ、何もやらなければゼロどころかマイナスです。
やるべきことは絞りましょう。
中学3年間で覚えるべき単語の数はおよそ1000〜1200語です。
3年で割ると400語。
すると、1日に2語覚えればおつりが来る計算です。
みなさん!1日に2語、英単語を覚えましょう!
どうですか?
できそうな気がしてくるでしょう?
テスト前になって慌てて20語も30語も単語の練習をしようとするから、身につかないのです。
そして普段は2〜3個覚えてもしょうがない、と高をくくっているでしょう?
でもね、1日2個というのは、ただ見てハイ覚えましたー、じゃあダメなんですよ。
もう一生忘れないくらい真剣に、集中して覚えて欲しいのです。
1日2個といっても、1週間で14語です。
なんと1ヶ月で60語です!
中には忘れてしまうものもあるかもしれません。
ですから、1週間おきに覚えているかのチェックをしましょう。
まとめると、こんな流れになります。
1)1日2語、英単語の練習をする
・2語だといってナメてかからない、ごまかさない、必ずやる
・回数は決めない、覚えた、と覚えるまでゆっくり書く
・正しいつづりを覚えたら、何も見ないで書く
・覚えたと思った30分後、2時間後、5時間後、翌朝に、書けるかどうか試す
2)1週間に一度、14語すべて書けるかどうかチェックをする
・日本語の意味を14語ならべて書く
・2分以内にすべて書けるかどうかテストする
・書けないもの、間違えたものはチェックしておき、徹底的に練習する
・例えば月曜〜土曜は新しく覚えるDAY、日曜をチェックと間違い直しDAYにする
3)1ヶ月に一度、60語すべて書けるかチェックする
・方法は2)と同じ
・10分以内にすべて正しく書けるかテストする
そして、1日2語のことですから、できれば以下のこともチェックして欲しい!
※ 発音をチェック
web上の辞書で、発音してくれるものがあります。アクセント、発音を何度も聞きましょう。
※ 品詞をチェック
英単語は品詞によって意味や文中で果たす役割が変わります。
例)name
名詞:名前 動詞:名付ける 形容詞:有名な
英語の品詞は日本語よりもシンプルですから、少なくとも下記は覚えてしまいましょう。
名詞…ものの名前を表す →主語・目的語になる
動詞…存在、動作などを表す →述語動詞・準動詞(不定詞、動名詞など)になる
形容詞…名詞を修飾する
副詞…名詞以外の様々なものを修飾する
たとえば take という単語を覚えたとしましょう。
teikと書いて間違えた。でもkeでクと読むことがわかった。
同じような単語はたくさんありますよね?
lake、cake、shake(シャケじゃないぞ!)、fake、make、wake…
これ、ぜーんぶ同じパターンです。
station、motion、action、addition、information…
これみーんな、「tion」で「ション」と読みます。
中1の初めのうちは、ローマ字と違って読み方も綴り方も決まっていないように見えて、イヤになりますが、英単語は覚えれば覚えるほど、似たようなスペルのパターンがあることに気づきます。するとドンドン覚えやすくもなりますよ!
Miraizでも毎週英単語のテストは実施しています。
だいたい、25語くらいを2週間かけてテストしています。
このテストをペースメーカーに、まずは1日2語、試してみて下さい。
続いて、英文です。
基本の英文を書いて覚えるというのはとても大事なことです。
しかし、呪文のように、意味も考えず、ただ書いているだけではダメです。
また、英文は順番が命です。
「が」「を」「に」などの助詞がないので、順番で意味を構成しているのです。
He gave me a watch.(彼は私に時計をくれた)
I'll send you a postcard.(僕は君にハガキを送るよ)
She showed us a picture. (彼女は私たちにある写真を見せた)
これらはすべて
「誰が」→「何する」→「誰に」→「何を」
の順番で並んでいます。
この順番を狂わせてしまうと意味が通らなくなるのです。
ですから、英文を練習するときは、この順番を意識して、英語の語順でつぶやきながら書くようにしましょう。
そして、短時間で何度も書くのではなく、意味を考えながら、じっくり書いて下さい。
3回くらい書いたら、次の英文には行かずに、しばらく間を置いて、見ないで書けるか試して下さい。
書けたら次。書けなかったらもう3回。
これくらいで充分です。
10個くらい英文を練習したら、しばらく間を置いて、また「何も見ないで書けるか」をテストしましょう。
このときも必ず時間は計ります。
この、何も見ないで書く、ということの練習をしなければ、いつまで経っても覚えられません。
間違えていたら、練習です。
ただ、このときも、しゃにむに何でも書き取りをすればいいというものではありません。
何を間違えたのかをチェックしましょう。
文の順番は合っていて、単語のスペルを間違えたのなら、その単語だけ書き取ればいいのです。
英文の順番が間違っていたら、その英文の順番どおりに日本語でとなえて覚えましょう。
最後に、長文読解です。
入試では出ない学校はない長文読解。
にもかかわらず、なかなか準備のできていない人も多いですね。
まず、これを見て下さい。
浦安市内で採用されている中3英語の教科書です。
これをだいたい50分の授業で1〜2ページ勉強しますよね。
ところが、入試では…

こんな感じです。
これは市川高校の入試問題ですが、同じ50分でこの問題を4枚解かないといけません。
選択肢も英文だったりします。
本文に書いてある内容と同じものを選べ、という出題が中心です。
つまり、高校入試で要求される長文読解とは、丁寧に一文一文訳すことよりも、
「速読速解」で「大意をつかむ」ことなのです。
そのためには早く読む訓練が必要ですし、多くの英文に触れる必要があります。
その訓練を怠るとどうなるか…

このグラフがすべてを物語ってくれます。
これは平成26年度県立前期入試の英語の得点分布表です。
「平均点が下がっていますね〜」「英語は大事ですね〜」なんて、のん気なお話ではありません。
問題はこの
グラフの形なのです。
このグラフは、横軸が得点、縦軸が受験生のウチ何%がその得点だったか、を示しています。
縦棒が平均点のゾーンです。
平均点辺りが一番多く、高得点も低得点も少ない、という分布になるのが一般的です。
同じ平成26年県立前期入試の国語を見てみると、そうなっているのがわかります。
ところが、この英語のグラフでは
80点台の人が10%(約4000人)、90点台のひとが5%(約2000人)もいる一方で、
20点台の人が10%(約4000人)、10点台の人が7%(約2800人)もいるという事実が浮かび上がります。
つまり、このことは英語ができる人もたくさん、できない人もたくさんいる、という「学力の二極化」を示しています。
おそらくこれは、学校のゆっくりとしたペースに慣れて、入試用の訓練をしなかった「時間内に終わらなかった層」と、しっかりと受験勉強をやり、長文にもひるまない「時間内に終えた層」の二つの山で構成されているといえるでしょう。
もっと言えば、前者は学校の定期テストに追われ、テスト前になると大義名分を得たかのように塾の授業も休み休みにしてしまい、その都度後れをとってしまった人。
後者はそうならないように普段から準備を重ね、学校のテスト準備と受験勉強を両立させた人、とも言えるでしょう。
受験勉強は持って生まれたアタマの良し悪しを競うようなものではありません。
入試までの準備、姿勢が問われるものなのです。
あなたは上のグラフのどちらのグループにいたいですか?
話を戻しますね。
さて、英語の長文読解が重要であるということは充分に理解して貰えたと思います。
では、どうやって勉強するか。
得意な人は、端から順に日本語に訳して言えるかどうかチェックしましょう。
わかりきった英文まで必ずしもすべて訳を書き出す必要はありませんが、複雑な英文については書き出してみることをお勧めします。
そして苦手な人には、思い切って「日本語訳を見ちゃう」ことをお勧めします。
これは、古典などにも有効な勉強法なのですが、よくテストなどで、自分なりに意味をとって読み進んでいたつもりが、あとで答を見ると、てんでズレていた、なんてことはありませんか?
まったく意味を勘違いした状態で、ずっと読み進めても無意味です。
英文をしばらく読んでみて、意味が取れなかったら、思い切って訳を読みましょう。
とはいっても、日本語訳と英文とを並べて交互に見てはいけません。
まずは、日本語訳を一気に読んで、どういう話なのか大意をつかみましょう。
そして読み終えたら訳を閉じて(←これが重要)、英文をゆっくり読み進めましょう。
話の筋がだいたい頭に入っているはずなので、大きく逸れることはないはずです。
わからない単語が出てきても、チェックだけ入れて、でもその場で意味を調べることはせず、先に読んだ訳の内容に合わせて意味を推定しながら読み進めちゃいましょう。
実はこの「知らない単語に出合うたびに辞書調べ」が集中力をそいでしまうのです。
試験ではまず100%知っている単語だけ、ということはあり得ません。
必ず知らない単語が複数出てきます。
しかも、試験中は辞書で意味を調べることもできません。
そのときに、前後の文脈でだいたいの意味を推定するという力が重要になってきます。
まずは時間内に一気に読み進めてしまい、あとで意味をチェックするようにしましょう。
ある程度内容がわかっている状態で英文を読むと、そうか、こういう表現の仕方をするのか、といったことも理解できます。
全くの手探りで英文に当たるよりもはるかに生産的な学習法です。
いかがでしたか?
英語の学習法、どれも試験本番を想定した実戦的な勉強法です。
ぜひ試してみて下さいね!